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Kyocera Europe「成功とは、能力・熱意・そして考え方の掛け算である」

11月 26, 2025 by Bjoern Eichstaedt and Emily Bischof

京セラは、創業から60年以上の歴史を持つ日本のテクノロジー企業です。京都の地場セラミックメーカーとして歩みを始め、現在では自動車、情報通信、医療・ヘルスケア、環境・エネルギーという4つの主要分野で事業を展開するグローバル企業へと成長してきました。高機能セラミックスの分野で世界をリードする京セラは、多様なセラミック素材と最先端技術、そして幅広いサービスを提供しています。欧州統括会社である KYOCERA Europe GmbH は、ドイツ・エスリンゲン・アム・ネッカーを拠点に、欧州29カ国におよぶ販売拠点・生産拠点を統括しています。今回、J-BIG編集部は KYOCERA Europe GmbH のマネージングディレクターのラファエル・シュレーア氏に、企業哲学の根幹、国際展開の歩み、欧州市場での戦略、そしてセラミック技術の未来について話を伺いました。

―― まずは京セラの創業について教えてください。

ラファエル・シュレーア: 当社は1959年、稲盛和夫博士が27歳のときに創業しました。そこに至るまでの道のりは決して順風満帆ではありません。稲盛博士は若い頃に結核を患い、大学卒業後もしばらく就職先が見つからず、ようやく京都の小さなセラミック企業に入社しました。しかし、資金面の厳しさもあって大学で学んだ知識を生かす機会は限られていました。

その状況を受け、稲盛博士は京都で自ら会社を興し、ファインセラミックスに特化する道を選びました。それが「京都セラミック株式会社」、現在の 京セラ株式会社です。創業時の従業員は28名で、そのうち7名は稲盛博士の親しい仲間でした。宮木電機などからの出資を受け、約300万円の資本金でスタートしています。

博士は創業当初から「世界一のセラミック企業をつくる」という大きな目標を掲げていました。まず地域で、次に日本で、そして世界へ――。京セラはその道のりを一歩ずつ進み、創業以来グループ全体として一度も赤字を出していません。これは私たちにとって、社会への大きな貢献であると考えています。

創業当初から京セラは野心的な目標を掲げていたと、シュレーア氏は語る // Photo series: Maximilian von Lachner
―― 創業以来、京セラはどのように発展してきたのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 関西での最初の主要顧客は、現在のパナソニックである松下電器でした。同社の真空管テレビ向けに、絶縁体として使われる小型セラミックチューブを供給したことから事業が本格的に動き始めました。これを契機に京セラは急速に成長し、創業からわずか1年後には東京に営業所を開設。さらに10年後の1969年には、北米販売拠点として KYOCERA International, Inc. を設立しました。

国際化、とりわけ米国進出は、ちょうどシリコンバレーが誕生した頃と時期が重なります。稲盛博士は少人数のチームを率いて渡米し、潜在顧客の開拓に乗り出しました。当時は半導体チップ製造に不可欠なセラミック素材の需要が急増しており、こうした追い風が大きな後押しとなりました。

同じ時期、世界的に自動車産業も拡大しており、京セラは主要なセラミック部品を供給する企業としてこの成長の波に乗りました。こうした動きを背景に、当社は比較的短期間でグローバル市場に着実に根を下ろすことができたのです。

―― ということは、創業当初の京セラは主に部品供給を行うサプライヤー的な立場だったのでしょうか。それとも自社ブランド製品も展開していたのですか。

ラファエル・シュレーア: その通りです。当初はB2Bの部品供給が中心でした。しかし1980年代に入り、家電・エレクトロニクス産業が急成長したことを背景に、京セラも最終製品分野に参入しました。オーディオ機器、カメラ、携帯電話など、一般消費者向けの製品を市場に投入したのです。

―― 欧州市場への進出はいつ頃だったのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 欧州への進出は1971年です。米国市場での拠点を確立した後、創業者の稲盛博士は次のステップとして欧州に目を向けました。これは、創業当初から構想していた「世界展開」を実現するための自然な流れでもありました。

現地法人設立にあたり、博士はドイツ・プロッヒンゲンに本社を置いていた Feldmühle 社(現在のセラムテック社)に協力を依頼しました。当時、京セラと競合関係にあった企業です。双方は協力し、電子部品の販売を目的とする合弁会社 Feldmühle Kyocera Europa elektronische Bauelemente GmbH(FM/KC) を設立しました。

その経緯から、京セラの欧州本社は現在もエスリンゲンに拠点を置いています。エスリンゲンは、当時協力関係を築いたプロッヒンゲンに近いバーデン=ヴュルテンベルク州の都市で、シュトゥットガルト郊外に位置しています。他の日系企業のように、デュッセルドルフやミュンヘンではない理由はここにあります。FM/KCではFeldmühle社と京セラ双方の製品を取り扱い、Feldmühle社の従業員の一部が合弁会社へ転籍しました。その後、日本からも最初の駐在員がドイツに派遣されています。

――この合弁会社は、どのようにして現在の KYOCERA Europe GmbH へと発展したのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 合弁会社はおよそ20年間、非常に順調に成長しました。1991年には社名を FM/KC から KYOCERA Fineceramics GmbH に変更し、さらに2020年には現在の KYOCERA Europe GmbH へと改称しています。社名変更の背景には、当社の事業範囲の広がりがあります。欧州本社には現在10の事業部門があり、半導体、光学部品、ディスプレイなど、多岐にわたる分野を手がけています。事業内容が広がるにつれ、旧社名の「KYOCERA Fineceramics GmbH」は、あらゆる製品やサービスがファインセラミックスに直結しているかのような印象を与えることもありました。そうした誤解を避けるため、より包括的な事業を表す名称として、現在の社名へ変更することを決めたのです。

京セラがどのようにしてドイツで事業基盤を築いたのかを知りたがっているアイヒシュテット
―― つまり、お客様が気づかない場面でも、セラミックスは実は活躍しているということですね。セラミックスには、他の素材にはない強みがあるのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: その通りです。セラミックスの大きな特徴は、高い精度、化学的安定性、そして高温に対する優れた耐性です。化学的安定性とは、外部の化学的影響を受けても反応しにくい性質を指します。

同じ用途で用いられる金属素材と比べると、セラミックスの利点としてまず挙げられるのが電気絶縁性です。それに加えて熱絶縁性にも優れています。また、セラミックスは非常に硬い素材でもあります。たとえば繊維産業では、セラミックス製の糸道ローラーを使用することで摩耗が減り、結果として発塵量も抑えられます。

多くのお客様は、従来の素材や手法に慣れているため、セラミックスが課題解決につながる可能性に気づいていないことがあります。だからこそ私たち専門家が、セラミックスの多様な応用を革新的なソリューションとして提案し、その価値を理解していただくことが重要です。これは、社会や環境の観点からも大切な取り組みだと考えています。

セラミックには多くの利点があるものの、その多様な活用可能性を潜在顧客がまだ十分に理解していない場合も多い

――お客様がセラミックスの必要性に気づいていない場合、どのようにして御社にたどり着くのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: まさにそこに、当社の営業部門が抱える大きな課題があります。同時に、新しい用途が次々と生まれる大きなチャンスでもあります。日本企業らしく、当社は比較的控えめなマーケティングを行う傾向がありますが、それでも業界に対してセラミックスの可能性をしっかり提示していきたいと考えています。私たちは展示会に出展するだけでなく、潜在的なお客様のもとへ積極的に足を運ぶことを重視しています。そして何より重要なのは、セラミックスが活用できる市場には、まだ大きな未開拓の領域が残されているという点です。私たちはこうした新しい可能性を具体的な形で示し、ソリューションとして提案しています。

―― 貴社のセラミック部品は、具体的にどのような製品に使われているのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 当社の製品は、産業向けのファインセラミック部品から、家庭で使われるキッチン用品や文具といった消費財まで、非常に幅広い領域に及びます。ハイパフォーマンスセラミックスの世界的サプライヤーとして、京セラは現在200種類以上のセラミック素材を扱い、市場ごとのニーズに応じた最先端の技術とサービスを提供しています。重点分野は、情報通信、自動車、環境・エネルギー、医療・ヘルスケアの4つです。

情報通信分野では、携帯電話向けの半導体チップ用セラミックパッケージなどを手がけています。また、食品パッケージの賞味期限表示や駐車券の印刷に使われるサーマルプリンター向けのプリントヘッドも製造しています。

自動車分野では、ディーゼルエンジン用のグロープラグや自動運転向けセンサー部品、EVのモータードライブや充電回路に使われるセラミック部品を供給しています。たとえばインジェクションポンプ向けの部品は、噴射されるディーゼル量を最小限に抑える効果があります。また、自動車だけでなく航空機産業にも幅広く展開しており、タービン製造用工具から衛星向け部品まで供給しています。

環境・エネルギー分野では、燃料電池を含む各種システムソリューションを開発しています。さらに、繊維業界向けのインクジェットプリントヘッドは、従来方式と比較して水とインクの使用量を大幅に削減できる点が大きな特徴です。

医療分野では、MRI(磁気共鳴画像装置)向けの部品を製造しています。また現在、シュトゥットガルト近郊のヴァイブリンゲンで、人工股関節に使用されるセラミック製ボールヘッドの新工場を立ち上げているところです。セラミック製人工股関節ボールの需要は世界的に拡大しており、当社はこの新工場から市場への供給を進めていく計画です。

―― 欧州の組織体制や売上規模について伺えますか。KYOCERA Europe GmbH はどのくらいの規模で運営されているのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: エスリンゲン・アム・ネッカーにある欧州本社を中心に、KYOCERA Europe GmbH は生産拠点を含む欧州29拠点を統括しています。欧州全体では約1,600名が在籍しており、そのうち本社には約100名、ドイツ国内では約700名が勤務しています。

売上構成について正確な数字を示すのが難しいのは、当社が10の事業分野を抱えており、それぞれの売上比率が大きく異なるためです。中には全体の約30%を占める分野もあれば、5%程度の部門もあります。特に強みを持つのは、ファインセラミックス、産業用工具、半導体関連、プリントヘッドといった分野です。

シュトゥットガルト近郊ヴァイブリンゲンに新設されたセラミックボールヘッドの生産拠点により、欧州本社は十分な体制を整えている
―― 現在、さまざまな産業で起きている変化をどのように捉えていますか。また、それは御社のビジネスにどのような影響を与えていますか。

ラファエル・シュレーア: とりわけ大きな転換期にあるのが自動車産業です。そのため当社も、業界の動きに合わせて製品ポートフォリオを常に調整しています。エレクトロニクス産業では、限られた空間にできるだけ高い性能を集約することが求められますが、その結果として過剰に発生する熱をどう処理するかが重要な課題になります。そこで当社は、パワーエレクトロニクスを効果的に冷却するためのセラミックソリューションを開発しています。

また、今後確実に縮小していくと見られる分野もあります。チケット印刷はその一つです。チケットのデジタル化が進むにつれ、紙のチケットは徐々に減少しています。現時点ではサーマルプリンティング製品の需要に大きな変化は見られませんが、いずれこの流れが訪れると予想しています。その一方で、新しい市場や用途も生まれています。たとえばインクジェット印刷技術は、自動車産業においても新たな可能性を切り開いています。車体塗装を顧客の要望に応じてカスタマイズするといった用途がその一例です。

セラミックの最新の活用可能性に強い関心を示している、アイシュテット
―― セラミック技術は今後、どのような新しい産業分野での活用が期待できるのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: セラミックには非常に幅広い応用可能性があるため、「これから何が出てくるか」を断言するのは難しいところです。ただ、産業用途での関心は確実に高まっており、私たちも多様な業界と協力しながら、新しいソリューションの開発に取り組んでいます。

その中でも特に有望なのが、アディティブマニュファクチャリング(金属積層造形)、いわゆるセラミックの3Dプリンティングです。通常、セラミックは金型に素材を詰めて焼成しますが、このプロセスは少量生産ではコスト面で不利になることがあります。一方、3Dプリントによる造形は柔軟性が高くスピーディーで、すでに試作や小ロット生産で活用が進んでいます。

さらに、従来では実現が難しかった複雑な形状を作れる点や、ほぼどんなカスタム形状でも対応できる点も大きな強みです。設計変更も3D CADモデル上でリアルタイムに行えるため、試作から量産までのスピードを飛躍的に高めることができます。

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――こうした新しい取り組みが増えるなかで、社内の連携はどのように行われているのでしょうか。たとえば日本本社との調整はどのように進めていますか。

ラファエル・シュレーア: 私たちは、経営層レベルでも、10のプロダクトディビジョン間でも、非常に頻繁かつ密接に情報交換を行っています。また、対面でのコミュニケーションも重視しており、日本への出張や日本からの訪問を定期的に行っています。重要なテーマは必ず直接会って話し合うようにしています。

経営陣としては、マンフレッド・ザウアー氏と私に加えて、欧州地域を統括する植木邦彦社長がいます。欧州事業に関する報告は、植木氏を通じて日本本社へ伝えられます。プロダクトディビジョンには各部門に駐在員が配置されており、ほぼすべての部署に日本人の同僚がいます。彼らは長年にわたり、欧州と日本をつなぐ「橋渡し役」として大きな役割を果たしてきました。現地に日本人の同僚がいることで、本社との距離は常に近く、言語面でも大きな助けになっています。

一方で、可能な限り欧州側のマネジメント人材を起用しており、本社もローカルマネジメントや現地化を重視していることが分かります。当社は多文化的な企業であるため、新しく入社する従業員には文化的な違いを必ず説明しています。私が入社説明を行う際は、「日本企業の意思決定プロセスは比較的時間がかかるが、一度決まったことは揺らがない」という点を伝えるようにしています。つまり、日々の業務では「忍耐」が重要な要素になるということです。ここに当社の日本的なルーツが表れています。また、企業全体をまとめる「理念」が存在し、それがグローバルでの一体感を支えています。

―― 企業理念にはどのような考え方が込められているのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 創業者の稲盛和夫博士は、会社の目的の中心に「従業員」と「社会」を据えていました。この考え方が形づくられたのは、創業から3年ほど経った頃のことです。当時、若手社員たちから給与の引き上げや解雇の不安、その他の待遇改善を求める声が上がり、稲盛博士は数日にわたって彼らと議論を重ねました。その場で、博士は自分が京セラとその製品で何を実現したいのかを真剣に語り、世界をリードする革新的な企業を目指すという自身のビジョンを伝え、社員たちを納得させました。

しかし、こうした議論を重ねる中で、稲盛博士自身も企業の存在意義を改めて見つめ直すようになりました。企業とは専門性や製品開発だけで成り立つものなのかと自問し、最終的に「企業の中心にあるべきものは従業員であり、社会である」という考えにたどり着いたのです。

京セラの根本理念は「敬天愛人」です。これは稲盛博士の出身地に伝わる神道の格言に由来していますが、宗教的な意味ではありません。自然の理を尊び、その中にある美しさに敬意を払う姿勢を指しています。この前向きな内面の姿勢が、公平さや誠実さ、そして互いを尊重し合う関係を生み出します。これは社内に限らず、お客様やサプライヤー、ビジネスパートナー、そして社会全体との関係にも当てはまる考え方です。

京セラの存在意義は次の言葉に集約されています。
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」

企業理念は、本社と欧州支部の強固な連携を支える重要な要素となっている
京セラは企業理念の中心に従業員と社会を置いており、その考えが日々の業務でどう実践されているのかを知りたがっている、アイシュテット

―― この企業理念は、日々の働き方にどのように反映されているのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 創業から60年以上、京セラのあらゆる活動は倫理性と透明性を重視する姿勢に基づいています。これは製品開発の段階からすでに徹底されており、当社は常に持続可能性や社会への貢献を意識して取り組んできました。こうした姿勢は日々のコミュニケーションにも表れています。社内外の関係者に対して、透明性の高い、率直で誠実な対話を大切にし、公平な取引条件を守ることを最も重要な基盤と考えています。京セラがこれまで成長し、信頼を獲得してきた背景には、高い技術力に加えて、良い評判と顧客満足があったと感じています。

企業哲学がもたらす良い影響は実証的にも示されています。1980年代、京都の企業から稲盛博士に経営哲学を教えてほしいという依頼が寄せられ、博士は「盛和塾」を立ち上げました。長い歴史の中で多くの成果を残し、塾生企業は京セラの哲学を学ぶことで業務改善や売上向上を実現してきました。このように、当社の哲学は京セラという枠を超えて国内外に広がり、高く評価されています。

―― 日本は文化の共有基盤が強く、企業理念が社内文化として育ちやすい環境があります。文化の異なる海外において、京セラはどのように理念を伝え、グループ全体での一体感を作り上げているのでしょうか。

ラファエル・シュレーア: 実際のところ、この点は非常にうまく機能していると感じています。私は22年間京セラに在籍していますが、ここドイツを含め世界中の拠点で、社員一人ひとりがこの哲学を日常業務の中で実践している姿を目にしてきました。特に、互いを公平に、敬意をもって扱うという姿勢には企業文化がよく表れています。重要なのは、この考え方がトップマネジメントによって率先して示され、それが管理職層へ、そして現場へと自然に受け継がれている点です。

管理職向けには模範となるための特別なトレーニングも用意されています。経営哲学に関するセミナーがあり、全社員を対象とした研修では企業理念のさまざまな原則について意見交換を行っています。

また、京セラでは新入社員向けの導入研修の中で企業理念を丁寧に説明しています。京セラヨーロッパには独自の「フィロソフィー教育部門」があり、人事や総務とは別に独立した部署として設置されています。これは理念教育を重視していることの表れです。私自身がこの部門の責任者を務めているのも、京セラの哲学が自分に大きな良い影響を与えてきたからであり、社員にも同じように前向きな変化を経験してほしいと願っているためです。

シュレーア氏は、企業理念が自身の人生をどのように変えたのかを個人的な視点から語っている
―― 京セラに入社し、企業理念を学んでから、ご自身の生活にはどのような変化がありましたか。

ラファエル・シュレーア: 京セラには「成功の方程式」という哲学があります。三つの要素、つまり「考え方」「能力」「熱意」を掛け合わせたものです。能力と努力は誰にとってもプラスの要素ですが、考え方だけはプラスにもマイナスにもなり得ます。そして考え方がマイナスであれば、最終的な結果も必ずマイナスになる。この方程式を初めて知ったとき、強い衝撃を受けました。

私が哲学セミナーに初めて参加したのは2003年、入社して間もない頃です。講師は創業メンバーの一人で、その内容は非常に印象的でした。そこで気づかされたのは、当時の自分がいかにネガティブな姿勢で日々を過ごしていたかということです。ちょっとしたことで腹を立て、周囲の人を「自分より能力が低い」と思い込み、正しいやり方を知っているのは自分だけだと信じ込んでいました。そのネガティブな考え方は家庭にまで影響を及ぼしていたのです。

企業理念に触れたことで、自分の心構えを根本から見直すようになりました。より広い視野で物事を捉えるようになり、前向きな姿勢を大切にすることで、人生全体が大きく好転したと感じています。今振り返ると、もし京セラでこの哲学に出会っていなければ、私の結婚生活も続いていなかったかもしれません。それほど、京セラは私に職業人としての成長以上のものを与えてくれたのだと思っています。

京セラは今後も社会に価値を提供したいと考えており、ドイツでもセラミックで貢献できる余地はまだ大きい
―― ドイツ市場における京セラの今後の展望をどのように捉えていますか。

ラファエル・シュレーア: セラミックには依然として多くの潜在力があり、新たなイノベーションの機会が広がっています。⾦属積層造形、つまりセラミック部品の3Dプリンティングはその代表例であり、近年では「水中光無線通信(UWOC)」といった新領域にも応用の可能性が見え始めています。レーザーやLEDを用いて水中で高速かつ安定したデータ通信を実現する技術で、海洋分野を中心に注目が高まっています。

一方で、ドイツや欧州では「セラミックで何が実現できるのか」がまだ十分に知られていないという課題もあります。しかし、これこそ大きな成長機会であり、当社は約5年前にドイツ国内で新たに2つの生産拠点を取得するなど、事業基盤の強化を進めてきました。

幅広い製品ポートフォリオと長期的なコミットメントを背景に、京セラは今後もドイツにおいて確かな存在感を発揮できると考えています。企業理念を軸に、革新的なセラミックソリューションを通じて社会の発展に貢献し続けることが、私たちの変わらぬ目標です。

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